金色の救世主


金色の救世主

 「なあ、俺ら本当にこんな調子で大丈夫かよ〜?」
栄がぶつぶつ言う。
 「わかるわけねえだろ。俺だって初めてこんなとこ歩くぜ・・・」
蒼がこちらもぶつぶつと言い返す。
 「まあ、落ち着きましょうよ。・・・とはいえ、道も何もないのではね・・・」
紅が二人をなだめながらも、ため息をつく。
 「大丈夫かな・・・」
碧の言葉はこの状況ではなく、別のものに向けられているような感じを受ける。
四人はまだ道なき道を進んでいた。
長い間ただまっすぐ進み続けていたので、栄が飽きてしまったらしかった。
 「俺だって仕方ないってわかってるけどさ・・・ちょっと不安になってくるだろ?」
長い草をかき分けて碧が進みやすいようにしてやりながら、栄がまた言う。
 「まあ、な・・・それはそうだけどよ、止まることもできねえって」
枝を屈んでかわしながら、蒼がまた言い返す。
 「ぶ!・・・・・・兄さんっ!!自分ばかり避けてないで教えてくださいって、言ったでしょう!?」
その枝に顔をぶつけて、紅が叫ぶ。
 「おー、悪ぃ悪ぃ。そこ、枝な」
 「遅いんですよ!!」
 「・・・・・・はぁ」
碧のため息は、今度こそ前を行く三人に向けられたもののようだった。
ふいに、蒼が立ち止まった。
 「・・・・・・・・・ここらで休憩しようぜ。ずっと歩き通しだったからな、碧、疲れてないか?」
 「うーん、ちょっと疲れてきたかな」
蒼の言葉に碧がそう答えると、皆立ち止まって円を作るように座った。
 「ふー、結構歩いたんじゃねえの?」
栄が水を飲みながら言うと、紅が答えた。
 「・・・そうかも知れませんけど、こうも何もないとは思いませんでしたね。何か見えてくれれば、元気の出しようもあるんでしょうけど」
 「うん。僕、もっといっぱい町があって、楽しいのかと思ってたんだけど・・・」
碧も残念そうに言う。
 「楽しいかどうかは別として、俺らが目指してるのがどこかもわからねえのは、困るよなぁ」
蒼があくまで明るく言った。
 「うーん・・・・・・・・・マンホール、じゃ、ないのか?」
栄がそう言うと、三人はがっくり肩を落とした。
 「あのなぁ・・・」
 「それはそうですけど、でも、そうじゃないんですよ・・・」
 「僕たちが欲しいのは、まずは情報でしょ?行く先々でマンホールを全部調べるつもりなの?栄は」
三人に口々に言われて、栄が落ち込んだ。
 「だ、だってさ・・・それしか覚えてないわけだし・・・」
その時、栄の後方から見知らぬ誰かの声がかかった。
 「そこに誰かいるのか?」
碧がはっとして言った。
 「人だよ!!」
 「いるいるー、こっち!!」
栄も嬉しそうに叫ぶ。
するとがさがさと足音がして、そこから現れたのは、金に輝く髪。



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