目的地決定
目的地決定
「へえ、町からね・・・よく出てきたものだ」
その人物は話を聞いて頷きながらそう言った。
「俺は蒼。この隣にいるのが紅、小さいのが碧。そのまた隣が栄だ」
蒼が紹介をすると、その人物はにっこりと笑って言った。
「よろしく。私はフロウリア・コール・デュートだ」
「ふ、ふろうり??」
栄が声を上ずらせていうと、さらに苦笑して、
「言いにくければ、フロウ、と呼んで構わない。仲間もそう呼んでいるからね」
と言った。風が吹き、波打つ金色の髪を揺らした。
「仲間・・・ってことは、やっぱり!!」
碧が目を輝かせて言うと、紅が後を繋いだ。
「この辺に、町か何かがあるんですね!?」
「ああ、あるとも。もっとも、町というほど大きなものでもないけれどね。何なら来るかい?大したもてなしは出来ないが・・・」
「行っていいなら、是非ついていきたいんだが・・・なあ?」
蒼が呼びかけると、皆一斉に頷いた。
「じゃあ、決まりだ。ここからなら結構近いからね、もう少しだけ歩けば着くよ」
碧にそう言うフロウの笑顔を見て、碧もにっこり笑った。
「しかし、よく私を信用したものだね」
フロウは先頭を歩きながらそう言った。
「ん?」
蒼が不思議そうな声を出す。
「普通は信用できないものさ。人間はそういうものだ。旅人なら、なおさら・・・」
疑い深くなるのだよ、とフロウは言った。
「・・・あんたは嫌な感じはしなかった。それだけさ」
さらりとそう言う蒼の声を聞いて、フロウが思わず立ち止まる。
「兄さんはそういう人ですからね。それに、兄さんのそういう感覚は馬鹿にはできないんですよ」
紅がさらに言うと、碧、栄も続けた。
「それに、フロウは結局悪い人じゃないんでしょ?」
「そうそう。本当に悪い奴ならそういうことは言わないもんな」
「・・・皆が君たちのようなら、このような区分けも必要ないのだろうけどね・・・」
フロウがまた歩き出しながら、そう言った。
「・・・・・・区分け?」
それに続いて歩き出しながら、栄が聞き返した。
「ああ、区分けさ。・・・君たちがなぜ、町の外へ出なかったのか・・・もう知っている者も残っていないのだろう。
着いたら説明しよう、今は歩いてくれないかな」
その言葉に不思議そうな顔をしながらも皆頷いて、それを確認したフロウは少し歩調を速めた。