肩透かし!


肩透かし!

翌日一行は、今までの苦労は何なのかと言いたくなるほどあっさり、次の町に到着した。
 「・・・で、着いたわけなんだがよ・・・」
蒼の表情は、いつになく暗い。
 「ええ、思いっきり・・・」
 「違う、よね」
紅も碧も、そして栄もフロウもヴィレも、とにかく全員、がっくりと肩を落とした。
 「確かに、確かに黒いけど!!」
栄がたまらず吠える。
 「俺たちが探してるのは、鎧じゃないっ!」
そう。
そこには確かに、黒い服―もとい、黒い鎧がトレードマークの『騎士団』という組織があった。
しかし、家を燃やし、崩壊させた黒いマント姿の者たちとは、あまりに違った。
 「なんだよっ、俺の昨日の切ない気持ちを返せ!!」
栄が地団駄を踏んだ。
 「あまりに状況が似すぎていたから、だまされたねえ・・・」
フロウの笑顔も引きつっている。
 「・・・貴様らの運の悪さには呆れるな・・・」
ヴィレもこめかみの辺りを揉みながら唸っている。
 「仕方ない、こうなったら意地でも次のところへたどり着くぞ!他に町がないかどうか、徹底的に聞き込み開始!」
 「おー!」
やけくそになって叫んだ蒼に応えるように、拳を突き出して勇ましく声を出した。

 「よ、よし・・・必死の情報収集の甲斐あって、こんなもんで次のところに行けそうだな」
眼を光らせた必死の形相で栄が言うと、皆ぜえぜえ息を切らしながらも頷いた。
 「次の町はここからさらに東、ここよりもさらに大きな大都市、ということでしたね」
 「・・・町同士に交流があって助かったな。これで情報は途絶えた、とか言われたら俺キレてたかも〜」
紅と蒼が口々に言う。
 「しかも次こそビンゴ、かな?いよいよこの旅もクライマックスだといいのだけれどもね」
フロウがやれやれといった感じで言えば、ヴィレが眉をしかめた。
 「そうでなければ、俺は森に帰るぞ」
 「俺だって帰りたいっつーの」
その言葉に軽く蒼が突っ込んで、紅、碧、フロウが頷く。
その中で一人、栄だけが浮かない表情をしていた。



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