またしても長い


またしても長い

 「なあっ、まだ着かねえのかよ〜」
栄が文句を言う。
 「着かぬ。・・・いい加減しつこいぞ」
ヴィレがまた青筋を立てる。
 「・・・今回は、また結構長そうなんですよね・・・色々ありそうではありますが」
紅がため息をついた。
蒼たち六人は、いまだ広い草原を東目指して歩いていた。
 「またあの人みたいだけど人じゃないひとたち、くるのかな」
碧がややこしい構図を一生懸命理解しながら言う。
 「来たとしても、倒しちまえばいい。簡単簡単!」
蒼が明るく言った。
己の腕っぷしにものを言わせてここまできたのだから、考え方はかなり大胆になってきている。
それを誰も否定しないのが、らしいというか何と言うか。
 「・・・今思うとさ、白銀の車、誰か運転できなかったのか?」
栄が空を飛ぶ鳥の群れを見つめながら言った。
 「・・・・・・う」
その言葉に、蒼と紅が固まる。
 「兄さんたち、免許取ってなかったっけ」
碧がさらりというと、兄二人はそっぽを向いた。
 「あー!!お前ら、運転できるのかよ!?」
栄が目を見開いて抗議する。
 「あ、いや、出来ないこともないなーってくらいのもんで」
 「わ、私もペーパードライバーですから、ねえ?」
にこにこと笑って、両手を小さく上げる。落ち着いて、ということである。
 「まあまあ。ここまで来てからそんなことを言っても仕方ないだろう?」
 「そうだ。今は進むしかあるまい」
フロウ、ヴィレに助けられた二人は、ほっと胸をなでおろした。
 「まだ見えねえなあ・・・待ってろよ、謎の黒マント組織!」
イライラしながら栄が空に向かって吠えた。



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