邂逅
邂逅
「・・・ここもたいまつだな」
「はいはい」
蒼たち五人は順調にたいまつに火をつけ、奥に進んできた。
一定間隔に置いてあるそれのおかげで、だいぶ遺跡内は明るくなった。
「しっかし、ホントに何もねえな」
栄が暇そうに頭の後ろで腕を組んだ。
「そう言うなよ。いいじゃん、疲れてへろへろになってやっと脱出なんてダセーことになるよりはよ」
しかしそう言う蒼の表情も、つまらなそうな顔をしている。
「しかし、段々一本道が多くなって来ていますね。これは、もうかなり奥まで来ていると見ていいんでしょうか」
紅が顎に手を当てて言う。
「だろうな。・・・先程、何かの気配を感じた。大勢いるような感じはなかったが・・・気をつけろ」
ヴィレの言葉に、皆気配を探るように黙り込んだ。
「何者かわからないが、奥にいるとみていいのかな」
フロウがそう言って歩き出したのを見て、皆再び前に進みだした。
さらに奥に進むと、そこには小部屋のようなものがあった。
広い部屋の中心に、ぽつりと四方を囲まれた小部屋があったのだ。
「なんか、簡易トイレみたい」
「こら、栄」
建設現場などによくあるそれを思い出して栄がぼそりと言うと、耳聡く聞きつけた紅がたしなめる。
「どうするべきかな。・・・ここ以外にもう部屋はないみたいだけれど」
「開けたら全員即死・・・あるかもしれんな」
フロウの言葉に、ヴィレが怖いことを言う。
「おじゃましまーす」
「蒼!」
「兄さん!」
蒼が何のためらいもなく扉を開いたのを見て、皆が同時に叫んだ。
「ぎゃーっどうしよう即死だ即死!!」
栄が騒ぐ。
「こらこら、栄、よく見なさい。蒼はきちんと生きているよ?」
フロウがそんな栄を落ち着かせて、頭をつかんでぐりっと回し、前を向かせる。
「あ、ホント・・・。・・・!!あんたは・・・っ!!」
前を向いた時、栄の目に映ったものは、蒼と、開け放たれた扉の中。
駆け出して、蒼を追い越し中に入る。
「どうして・・・あんたがここにいるんだよっ・・・」
「栄。・・・君の方こそ、どうしてここに?」
そこに佇んでいたのは、ふわりと笑う、謎の男。