君たちが強いわけ
君たちが強いわけ
「それにしても、蒼。君たちはやけに強いね」
ある昼下がり、一路南を目指しながら、フロウが唐突に言った。
「ん?なんだよ突然」
蒼も不思議そうな顔をした。
「いや・・・誰かに教わったのかとか、気になっただけなのだがね」
そのフロウの疑問に、紅が答えた。
「私たちは、小さい頃から道場に通っていたんですよ。それなりに護身術や格闘術を教わりましたよ」
続けて、蒼が言った。
「そうそう。それを、実戦で使ったのは逃げてきたときが初めてだったけどな」
からからと楽しげに笑う蒼に、フロウが苦笑した。
「それでは、元々の素質もあったのだろうね。・・・栄もかい?」
栄はフロウの問いに、首を横に振った。
「いや、俺はあっちでいろいろ習ってたけど、ケンカも多かったから、俺の場合は経験の差ってヤツ?」
それにもともと好戦的だからー、と栄は笑いながら言った。
「しかし・・・あれだけ動けるのなら、よっぽどいいところに通っていたのだろうねえ」
うんうんと頷き、疑問が解消されたことですっきりした顔をして、フロウが言った。
「というよりは・・・なあ?」
「ええ、そうですね」
「あー、兄さんたちはそうだろうなー」
蒼、紅、碧が、そんなフロウににこっと笑った。
「・・・・・・? なんだい?」
「俺らが足も速くて、瞬発力もそこそこあるのはさ・・・」
「ええ、よく悪戯をしては逃げ出していたからかもしれませんね。私たち、相当な問題児でしたからね」
「僕が小さいのをいいことに、罪を被せられたこともあったんだからね!」
三人は、それから思い出話に花が咲き、ああでもないこうでもないと話し始めた。
ずっと黙り込んでいたヴィレはそんな三人を見て、呟いた。
「・・・・・・何となく、想像はつくな」