しらこたその2


「小太郎・・・ホントに・・・?」
「うん・・・いいよ、白迅」
「小太郎・・・!!」
白迅はすっと手を伸ばし、そっと引き寄せた。
「やったー!でもホントにいいの小太郎、最後の一枚だよ?」
引き寄せたせんべいをひょいっと口にくわえ、にこりと笑った白迅に、小太郎が苦笑する。
「いいよ別に、おせんべいくらいまた一緒に買ってくればいいだろ?」
「小太郎ー!!僕のために!!」
がばっと勢いに任せて抱きついてくる白迅の頭に、小太郎がクッション攻撃をする。
「バカっ、人前で・・・いや、神前で?とにかく抱きつくなー!!」
「お前ら・・・さっきから聞いてりゃあ・・・」
夜狩がわなわなと震える。
「紛らわしい会話するなよっ!!」
八魂が真っ赤になって叫ぶ。
「え?あ、ご、ゴメン・・・!!」
小太郎も赤くなって謝ると、白迅がますますぎゅーっと小太郎を抱きしめた。
「何だよチビッコ。なら邪魔しに来なきゃいいじゃん?」
「・・・行こうぜ、八魂。話になんねえ、てか俺らが落ちつかねえ。
お前んとこ行こうぜ。そろそろ唐紅も起きてるだろ」
夜狩が呆れたようにはあっと息を吐いて、八魂がしぶしぶそれに従った。
「オイラ、小太郎とは一緒にいたいのに〜」
「ご、ごめんね八魂!!って、夜狩!!僕のところには今後の話をしに来たんじゃ・・・」
窓から飛び立とうとする夜狩に小太郎が呼びかけると、夜狩はゆっくり振り返った。
「・・・そういう台詞は、ソイツをひっぺがしてから言え。な」
ソイツ、つまり白迅のことである。
「小太郎、僕を、僕を・・・ひっぺがすの?そうなの?」
「あ、あははは・・・ゴメン、話は今度でいいかな・・・」
腰の辺りに抱きついている白迅に見上げられ見つめられ、
小太郎は結局引き剥がすことも出来ず夜狩にそう返した。
「別に、俺は構わねえよ。今日は、日も悪かったしな。次は全員そろって話が出来ればいいけどな」
そう言うと今度こそ飛び立った夜狩に続いて、八魂が姿を消した。
「じゃあな、小太郎!!今度こそオイラと遊ぼうなっ!」
「うん、約束するよ!!」
「じゃあね〜チビッコ!!・・・あー邪魔者がいなくなってすっきり〜」
まだ抱きついたまま言う白迅の頭をべしっと叩いて小太郎が言った。
「邪魔者ってなんだ、邪魔者って!!お前が邪魔したんだろ!!」
「だって、よく言うじゃないか〜。『人の恋路を邪魔するものは〜』ってね〜」
「あのな・・・お前がそういうことばっか言ってるから!!みんなに僕らのことバレたんじゃないか〜〜っ!!」
小太郎が真っ赤になって叫んだ台詞に、白迅がきょとんとする。
「・・・いいじゃん?堂々としてたほうが、色々立ち回りやすいし〜」
ねっ、と小太郎に同意を求める白迅の顔を容赦なく叩いて、小太郎は立ち上がった。
「ほら・・・行くよ!」
「え?どこにさ。もう夜だよ?」
座ったまま見上げてくる白迅を見下ろして、まだ少し赤い顔で小太郎は言った。
「・・・・・・おせんべい、買いに」
その言葉に白迅が目を輝かせると同時に、小太郎はさっさと階下へ降りていった。
「小太郎・・・!!やっぱり僕のためにvv」
その後ろを、上機嫌に白迅がついていく。
かなりの確率で繰り返される、これが、彼らの日常。






バカップルどもめ!