番外編壱


「おはよ〜・・・」
「あ、おはよう小太!!ね、今日も行くよね!!仲間探し!!」
小太郎が朝起きると既に白迅が起きていた。
「何言ってるんだよ・・・学校に行かないと・・・って!!」
「?」
「うわ、もうこんな時間じゃないか!!母さんっ!!」
目に入った時計を見てぎょっとした小太郎は、きょとんとする白迅を部屋に一人置いて1階に駆け下りた。
時刻は8:00。完全に遅刻である。
「・・・っどうして起こしてくれなかったんだよ!!遅刻じゃないか!!」
「あら?・・・小太郎、今日どこかに出かける約束でもしてたの?」
すっとぼけた答えを返してくる清江に、小太郎はいらいらしながらさらに言う。
「何言ってるんだよ、学校に行かないと・・・」
「小太郎。・・・今日は休日なんだけど〜」
追いかけて降りてきた白迅の一言で、小太郎は固まった。

「・・・まったく、それでこの寒いのに外に出るはめになったわけか」
「ははは、小太郎が休日なのに学校行こうとしたのは傑作だったなあ〜」
「うるさいよ!!」
二人は見事な紅葉の木々の間を歩いていく。目指すのは天神神社。日和と夜狩がいる神社である。
「・・・でもまあ、順調な滑り出しじゃない?だって、二人で一人とはいえ、これで二人味方につけたんだよ?」
「そりゃ、そうかも知れないけど・・・」
どこか納得いかない様子の小太郎に、白迅がにこりと笑顔で言う。
「ほら、僕一人でキミを守るよりいっぱい味方がいたほうが、小太も安心でしょ?ねっ、ガンバロー!!」
「・・・・・・それもそうか!よし、行こうか白迅!!」
目指す神社はもうすぐ。駆け出した小太郎の後ろ姿に、白迅は呟いた。
「・・・・・・・・・そこは、否定するところじゃない?」

「・・・私の知り合いの神、ですか」
「うん、頼むよ日和」
二人が神社につくと気配を感じたのか、日和の方から姿を現してくれた。
「・・・そうですね・・・私は白迅くらいしか、知り合いらしい知り合いもおりません。
お役に立てずにすみません、小太郎」
「い、いえ!!とんでもないです!!ありがとうございました日和さん」
申し訳なさそうな顔をする日和に、小太郎は慌てて手をぶんぶん振った。
「でも、どうする?これじゃあ十分に小太郎を守ることなんて、できるかどうか。
僕たちだけじゃ、とても手が足りないよ〜」
白迅が顎に手を当てて考え込む。そんな白迅に、日和がにこりと笑って言った。
「大丈夫。小太郎が・・・この子が、真にあの力を持つなら、自ずと神の側から吸い寄せられるはずです。
何のあてもなしに探し回るより、その役目をもった神が導かれるのを待ちましょう」
「・・・そうか。そうだね。うん、何か元気が出てきたね!じゃあ小太郎、どうしようか」
くるりと小太郎を振り返る白迅に、小太郎は笑顔で言った。
「今日は、ここでいいじゃない。日和さん、お話していっても構わないですか?」
「ええ、私も貴方と話をするのは楽しいですよ」
にっこり笑って喜びを表す小太郎に、日和も応えるように笑った。