番外編参・2


「唐紅さん!」
「・・・どうした、小太郎」
呼ぶと、すぐに唐紅が姿を現した。
「えっと、僕今から買い物に行くんですけど・・・白迅が、危ないから誰かについていってもらえって言うので、
唐紅さんを呼んでみたんです、けど・・・」
忙しかったですか?と小太郎が言うと、唐紅は首を振った。
「寝ていただけだ。忙しくはない。・・・それならば、行こう」
「は、はいっ」
歩き出した唐紅を追いかけるように、小太郎は駆け出した。

「・・・あれ?唐紅さん、いつもと着ているものが違いますね」
いつもは薄手の着物を着ている唐紅だが、今日は一枚多く羽織っている。
「最近、寒さが増してきた。一枚羽織るだけで大分違う」
「ああ・・・白迅は平気そうにしてますけど。唐紅さんは違うんですか」
「あやつは兎だからだろう。我は楓だ。寒さには弱い」
確かにウサギは冬でも雪の中を走り回っている様を、よく動物番組などで目にする。
「それにしても・・・」
結局唐紅の着物も赤いので、白迅を連れてきても大して変わらなかった、と小太郎は思った。
「どうした」
「い、いえ!!何でもないんです!!」
口に出てたのか、と呟いて、小太郎は照れ隠しにマフラーに口元を埋めた。
ウサ耳でないだけ、大分いい。小太郎はそう思うことにした。
「あ、ここです。行きましょう、唐紅さん」
目的のスーパーを見つけ、小太郎が小走りで中に入ると、その後を静かに唐紅が続いた。

「あった、お醤油。・・・と、お惣菜・・・」
買い物カゴに特売の醤油を確保すると、小太郎はすぐに惣菜コーナーに向かった。
「うーん・・・何がいいんだろう・・・。あ、唐紅さん!!唐紅さんは何が好きですか?」
何を買って行こうか。決めかねた小太郎は、唐紅の助言をもらうことにした。
「・・・・・・我は特に好いたものは無いが、以前のお前はこれを好んでいた」
「・・・これって、きんぴらごぼう」
値段は予算内。小太郎はにこっと笑って、それをカゴに入れた。
「じゃあ、これにします。お会計済ませて帰りましょう、唐紅さん」
微かに、唐紅が嬉しそうな顔をしたような気がして、小太郎はますます笑顔になった。