番外編四・3


細長い缶のリンゴジュースがごとんと落ちてくると、八魂は喜んでぱっとそれを自動販売機から取り出した。
「ありがとな、小太郎!」
にこっと笑ってそう言われると、小太郎も思わず笑顔になる。
「どういたしまして。うーん、僕は何にしようかな」
結局、ウーロン茶のボタンを押して、缶を取り出した。
そのまま八魂を促して、家への道を歩き出す。
「・・・八魂さ、あんまり神様っぽくないよね」
小太郎がそう半分笑ったような顔で言うと、八魂は満面の笑みで返した。
「うん!!オイラも自分でそう思う!」
「あはは・・・」
小太郎は笑いながらウーロン茶の缶を開けて、飲みながら歩く。
「でもな、やっぱりオイラは神だから、小太郎を守るくらい、簡単なんだぞっ」
えへん、と胸を張る八魂に、ますます小太郎は笑みを深くした。
「頼もしいな。しっかり頼むよ、八魂」
「おう!!任せとけっ!!まだまだオイラにはひみつ兵器があるんだからなっ!!」
にっ、と笑ったその顔とは対照的に、小太郎はきょとんとした。
「・・・・・・ひみつ、兵器?」
なんだよ、という小太郎に、八魂はイタズラっぽく片目を瞑って見せた。
「ひみつ兵器なんだから、ひみつだよー!!」
そう言って駆け出した後ろ姿を、小太郎は慌てて追いかけた。
「あっ、ちょっと待ってよ八魂ー!!・・・もー、足速いんだからなあ・・・!!」
「あはははっ・・・!!」
八魂の明るい笑い声を追いかけて響く、小太郎の呆れたような楽しいような声。
空には一番星。
明日もいい天気になりそうだ。