番外編伍・2


「ぶっ・・・!!っくくく、に、似合うじゃん八魂・・・っ!!」
白迅が同じような頭をしていることも忘れて、腹を抱える。
「ははっ、あははははははっ・・・!!く、苦しい・・・っ!!」
小太郎なんかは笑いすぎで呼吸困難に陥りかけている。
「こらーっ!!笑うなよっ、白迅、小太郎!!」
1本の三つ編み、プラスご丁寧に括っている部分には花まで飾られているという可愛い髪形で怒鳴っても、全く迫力が無い。
「可愛いわ、八魂」
上機嫌なのは昇姫である。納得の行く出来だったのか、頬を紅潮させて喜んでいる。
「うっ・・・」
さすがに、昇姫には怒鳴れない八魂は、しゅんと耳を下げた。
その笑顔は、愛らしいながらも最強。
「くぅ〜〜〜っ・・・!!八つ当たりっ!!オイラも誰か呼んでくるっ!!」
言うなりばたばたと家を飛び出した八魂を見送って、昇姫は誰の髪を触れるのかと、
白迅と小太郎は、次は誰が犠牲になるのかとわくわく待っていた。

「じゃーんっ!!連れてきたっ、夜狩!!」
「でかしたっ、八魂!!」
息を切らして戸を勢いよく開けた八魂の後ろから現れた夜狩に、一番喜んだのは自分もアホな頭をしている白迅。
「おい、何だよ俺に用ってのは・・・って、おい!こら!!小太郎、白迅!!何で左右掴んでんだ!!」
夜狩なら、昇姫の笑顔にも勝ちかねない。しかし、夜狩の三つ編みは是非とも見てみたい。
そんな二人は結託して、夜狩の腕をがっちりキープした。
「ごめんね夜狩、僕、どうしても見たいんだ」
「おい!話聞けって・・・白迅、お前何て頭してんだ!?八魂も・・・」
「いいから昇姫に任せときなよ〜。きっと可愛くしてもらえるからさっ!!」
夜狩を無視した白迅の言葉に、昇姫は櫛を片手に頷いた。
「任せてください。絶対、可愛くしてみせます」
「お、おい・・・何だ何だ、ちょ、やめろって・・・!!」
顔を引きつらせる夜狩に、昇姫はゆっくりと歩み寄った。