番外編陸・1


「おらあっ!!」
「うわわわっ!!」
どたん、と大きな音がする。
宿題をこなしていた小太郎は首を傾げて部屋から出ると、階下の居間を覗いた。
確か今日訪ねて来ていたのは、夜狩だったはず。
「ちょっと、白迅、夜狩・・・なにやって、・・・!」
「おう、小太郎。うるさかったか?悪いな」
「いった〜っ!!夜狩っ!!僕の腕が取れたらどうしてくれるんだよ〜!!」
床に転がる白迅と、得意げに肩を回している夜狩。
本当に何をやっていたんだ、と小太郎はため息をつく。
「腕相撲だよ、小太。夜狩と僕、どっちが強いかな〜っていう話になってさ、やってたんだよ」
もう復活した白迅がそう説明すると、夜狩はにやりと笑った。
「まあ、俺の圧勝だけどよ。・・・白迅、小太郎、丁度良いからお前らでやってみたらどうだ?」
「えっ?僕と白迅が!?無理だよ、僕、自慢じゃないけど力は弱いから!」
急に話が回ってきて、小太郎はたじろいで両手を振る。
「ふっふーん、小太が僕に勝てるとでも思ってんの〜?こう見えて僕、カミサマだよカミサマ」
「まあ、そうか。中学生とコイツじゃ、体格的にも問題あるよなあ」
にやにやと笑い小太郎をからかう白迅に、ふんふんと頷く夜狩。
そうあっさり引き下がられると、小太郎とて黙ってはいない。
「ちょっと待ってよ、言ったなー!?白迅、僕に負けて大恥かくなよ!!」
「おっ!小太郎、乗ってきたな!こりゃあ面白ぇ!」
「じゃあ、丁度いいから皆呼んでやろうよ!!からさんと、香仙と、八魂も!昇姫は・・・どうする?」
すっかり腕相撲大会に乗り気になった3人は、全員呼んでしまえと楽しげに笑った。
まさか、この腕相撲大会があんな結果になるなんて、この時は思わなかったのだ。

「ようっ、小太郎っ!!来たぞ、腕相撲で遊んでくれるんだろー!!」
八魂が元気に駆け込んでくる。
「はぁーい、小太ちゃん!面白そうなことやってるわねぇ、アタシもやるのかしら?」
陽気に入ってきて片目を瞑るのは香仙。
「・・・・・・・・・小太郎、何故我まで・・・」
唐紅が後に続いて入ってきた。
「腕相撲、久しぶりです。わたしも頑張ります」
にっこり可憐な笑顔で闘志を燃やすのは昇姫だ。
「よし、皆そろったね!腕相撲大会、開始だよ〜!!」
白迅の元気な一言で、「第一回腕相撲大会」が開会された。