番外編陸・2


「じゃあ、まず組み合わせを決めようよ〜。小太郎、くじできた?」
白迅が振り返ると、小太郎は小さく折りたたまれた紙を示した。
「うん、出来てるよ。みんな一つずつ取ってね。このトーナメント表に書き込んでくから」
即席で小太郎が書いたトーナメント表に、次々くじを引いた者の名前が書き込まれる。
人数の関係で設けられたシードは、香仙が獲得していた。
「やっだ、アタシってば、強運の持ち主ねえー!!」
とは言いながらも、対戦回数が少ないのは残念がっていたようだったが。
最終的な組み合わせが決定したところで、第一回戦。
白迅vs夜狩
「ふっふっふ・・・くじで引っ掻き回したにも関わらず、またキミと対戦なんてね・・・夜狩」
「へっ、言ってろよ。どうせ、また俺が勝つに決まってんだからよ」
既に握り合い、背後に炎が見えそうなくらい闘志を燃やしている二人の手に、小太郎が手を添える。
「じゃあ、テーブルに手の甲が付いたら負けだからね。・・・レディー・ゴー!」
わあっと歓声が上がり始まった勝負の結果は。
「・・・痛った〜〜っ!!手が、手が変な方向に曲がる〜!!」
「へっ、2連勝だぜ!」
白迅が床を転げまわって悶絶し、夜狩が満面の笑みでガッツポーズを決めた。
「夜狩の勝ちー!!」
その場にいた皆が拍手喝采。
小太郎が赤ペンで勝ちあがった印の線を引く。
「次は、・・・ええっ、僕と昇姫じゃないか!!」
「はい。小太郎、わたし頑張りますから、本気でね」
ふわりと笑う昇姫に、小太郎はどうしたものかと考える。
いくら神とはいえ、女は女。力などは人間と大差ない・・・と思う。
そこへ、いくら人間とはいえ男である小太郎が、本気でかかって良いものか。
そこへ、白迅が小太郎へ耳打ちする。
「・・・昇姫って実は強いから、本気で行っても勝てるか怪しいよ〜」
「えっ!?」
驚いて振り返るが、白迅はさっさと進行してしまう。
「さっ、第二回戦だよ〜!!」

さて、その結果は。
「い、たたたた・・・」
小太郎が手首をさする。
「ふふっ、勝ちました。小太郎、大丈夫?」
対する昇姫は、何事もなかったかのように笑っている。
「だーから言ったのに、小太郎〜。昇姫強いよって」
「う、うん・・・身にしみた・・・」
ぐったりした小太郎を横目に、夜狩がトーナメント表に目をやり、次の対戦の2人に視線を移した。
きょとんとして、それから呆れ顔になる。
「次は・・・勝負になんねえな、こりゃ・・・」