拾捌


次の日小太郎は三叉路の手前で白迅たちと待ち合わせて、謎の声の正体を確かめることになった。
「・・・久しぶりに日和さんに会いたいなあ〜・・・。僕が学校に行ってると、日和さんの時間終わっちゃうし」
ぶつぶつ呟きながら小太郎は帰りの道を歩く。小太郎は日和のもつ雰囲気が好きなのだ。
優しい上に、包容力がある。なにより、話していると楽しい。大人という表現は神には少しおかしいかもしれないが、
小太郎はそう思うのだ。周りが大人げないだけに。
「小太郎」
上から声がかかる。しかし、夜狩ではない。
「小太郎。ぼんやり歩いていると、危ないですよ」
「え?あ、ひ、日和さん!?」
白い梟が隣に降りたと同時にそれは人型をとり、見慣れた日和の格好となった。
小太郎は鼻先まで迫っていた電柱にぎょっとすると、日和を振り返って苦笑した。
「まだ少し私の時間が残っていたので、見回りついでに空を散策していたのですよ」
陽のある時間は、日和が空を見守っているのだという。
「そ、そうだったんですか・・・。あ、僕、日和さんに会いたいなあって思ってたんですよ」
にこっと笑顔で小太郎がそういうと、日和も笑った。
「それは嬉しいですね。・・・確か今日、夜狩と約束があったはずですね。ついでですから一緒にそこまで行きましょうか、小太郎」
そう言って隣を歩く日和に、小太郎はますます笑顔になった。

「おーい、小太・・・、と、あれ?日和〜」
問題の三叉路の近くに白迅は立っていた。小太郎の姿を見つけ呼びかけると、隣を歩く日和が視界に入った。
「あ、白迅」
白迅の元に到着した小太郎が立ち止まる。その隣を歩いていた日和は、笑顔で白迅に話しかけた。
「見回りをしていたら、小太郎を見つけたので一緒に来たのです」
「あ〜、そうだったのか。うん、まあ日和が来たって事は夜狩も一緒に来たことになるしね〜。よかったよ」
にこっとして言う白迅に、日和は楽しそうに笑った。
「ええ、そう言うと思いました。ですからわざわざ散策に出たのですよ」
つまり、最初からここに来るつもりだったと言外に匂わせた日和に、白迅が苦笑した。
「あーあ、やっぱり敵わないね日和には。・・・じゃあ、もう行こうか。ほっといてももうすぐ、夜狩が出てくるだろうから」
夜狩のこととなるとどこか言葉に棘が混ざる白迅に、小太郎と日和は顔を見合わせて笑った。