弐拾弐


「い、いってきまーす!!」
「いってらっしゃーい!!小太、真っ直ぐ帰って来るんだよー!」
「いってらっしゃい!!小太郎!!」
家に住み着いた神様2柱に見送られ、昨夜遅くまで昇姫の件で出歩いていたため、寝坊した小太郎は家を飛び出した。
「大変だ、今日こそ間に合わないかもしれない!!」
急いで走るが、道にはクラスでもいつも遅刻して教室に入る顔ぶれしか見当たらない。
鳥の羽ばたきが聞こえ、走りながら上を見上げると、見覚えのある白い梟。
「・・・おはようございます、日和さん!」
にこりとして小太郎が言うと、白い梟はくるりと小太郎の頭上で1回転して飛び去った。
今日もいい1日になりそうだ。小太郎はそう思って足を速めた。

放課後、小太郎は1人道を歩いていた。
「ひろのやつ・・・僕をおいてさっさとサッカーしに行っちゃうんだからさ」
いつも一緒に帰っている広だが、最近は以前熱中していたサッカー熱が再燃してきたらしく、
放課後となるとサッカーをしに行ってしまうので、小太郎は最近1人で帰っていた。
「まったく、そりゃ僕はサッカー下手だけど・・・ん?」
はたと立ち止まる。きょろきょろと小太郎は辺りを見回した。
「・・・あれ?ここ・・・いつもの道じゃない!!ま、間違えた・・・!?」
どうやら怒りにまかせて歩いていたため、どこかで道を一本間違えたらしい。
入ったことのない未知の領域に入ってしまって、小太郎は動揺した。
「ど、どうしよ・・・!!こんなとこ、見たことないよ・・・」
とりあえず、一歩踏み出す。もうこうなればヤケだと、そのままずんずん突き進む。
やがて木々が多くなり、ついには鬱蒼と茂った森に入ってしまった。
「・・・あ、あれ?・・・道は?」
きょろきょろと辺りを見回す。と、木々の間から何かが見えた。
「何だ?あれ・・・」
がさがさと落ち葉を鳴らして近づくと、それは。
「黄色い・・・鳥居?神社なのか?」
普通の鳥居は赤。しかし、そこにあったのは、黄色い鳥居。それもかなり大きい。
小太郎は離れた場所からそれを眺めた。
「すごい、大きい!・・・・・・ん?」
小太郎は目をこすった。一瞬、鳥居の上になにか見えたような気がしたのだ。
「なんだろ・・・行ってみちゃだめかな」
鳥にしては大きな影だったそれを確かめるため、小太郎はその神社に近づいていった。